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そうだった、僕はバイクが大好きだったんだ。 [..........]

これまでに読んだ本のことを思い出して、もう一度読んでみたいなぁと思う本はいくつかあるんだけど、その中でも片岡義男に関しては、思い出しただけで洗濯機の中の洗濯物みたいに意識がグルグルになる。
グルグルになって、気がつくと僕はバイクに乗っている。
僕の乗っているバイクはヤマハのオフロード車で125ccのフレームに200ccのエンジンをひとつ載せている。
その弟分だか兄貴分はセローという。
ホンダからはXLという赤いオフロードのバイクが出ていたけれど、ハンドルの位置が低くいし、エンジンの吹き上がりももたもたしているので、ぼくはこのヤマハのバイクが好きだった。
「すっとっととと」とトコトコ走っていくのは、たぶんトルクがあったからなんじゃないかと思っているけれど、ほんとのところはよく知らない。
そのバイクではいろんな所に行った。
以前書いた水平線に浮かぶ満月を見たのもこのバイクのシートからだった。
400kmの雨の中の行程の間にレインコートのポケットにたまった雨水を「400kmの雨水」と名付けたのも、このバイクに乗っているときだった。
それからあれは南に下ったときだったかな。
九州の最南端を目指して海岸線を走って通り過ぎた南の町。
夏のまだラジオ体操が始まる前の時間。
おそらくはその町の中心の交差点で、信号機はまだ点滅をしていて、角に古いガソリンスタンドと大きな木があった。
もう一度あの交差点をバイクで通り過ぎることができたらと思う
夏の朝の小さな町。
その後、台湾の映画の中に似たような町を見つけた。

思い出しただけでもそんなことになるので、実際に読んでみると、かつての僕がただバイクに乗っていただけではなくて、本当にバイクが好きだった感情までも思い出す。
アクセルを開いた時のごつごつした加速感、峠を越える道の山側と谷側の気温の違い、エンジンの焼けるにおい、夏の交差点で隣にとまったバスの熱気、突然の夕立と生暖かい雨粒。
そうだった、僕はバイクが大好きだったんだ。
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