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こちらニッポン…:小松左京 [Book]

ちょっと気になる小説に「『750ccのバイクに乗った女性が、東京から大阪まで走る』小松左京氏の消滅ものの小説」というのがあって、そのタイトルも忘れていたが、今回たまたままとめ買いをした本の中にその小説が入っていた。
それが、この「こちらニッポン…」だった。

小松左京氏は、今のこの状況の中からなにかが消滅した時に.....という状態が背景になった小説をいくつも出している。
消滅するものは、日本だったり、首都だったり、人類だったり、あるいは木星だったりする。
なにかを失ってそれの大事さがわかるというのは良くあるけれど、小松左京氏の場合はそれよりももう一歩踏み込んだところを描いているようだ。
その失ったものは、生きて行く上でのアイデンティティなのではないかと思う。
それは、家族の中での自分とか、会社の中での自分と云った目に見えるものではなく、日本人としての自分とか、人類としての自分だったりする。
その大きな下地をなくしたときの事を小松左京氏は描きたいのだなと思うが、実はそこまで(今のところは)描ききれてないような気がする。
期待したいのは「日本沈没」のその後(「日本漂流」という仮題はあるらしい)なのだが、今のところ執筆されていないらしい(すごく読みたい。)

今回読んだ「こちらニッポン…」でも、そのつもりで読んでくと最後はすごいどんでん返しで裏切られたような気がする(きわめてキアロスタミ的驚きがあるのだが、ちょっとなぁ)。
登場人物もあまり深く描かれていないので、つまらない。
もちろん、人のいない日本で20数名の人間が生きて行く状況は、わりと具体的でフムフムなるほどと思うのだが、結局フムフムなるほどで終わってしまう。

小松左京氏は1931年生まれなので、おそらく多感な時期に太平洋戦争の敗戦を迎えたのだと思う。
その時に小松左京氏は、日本人としての存亡の危機を強く感じたのではないかと思う。
ぜひ、「日本漂流」を読みたいと思う。
読ませてください!
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