オールド・テロリスト:村上 龍 [Book]
またやられちゃったなぁ。
表紙に騙されてしまった。
いや、騙される前も、騙されてからもおもしろいからいいんだけどさ。
ハードカーバーの表紙から感じたのは、飄々としたお年寄りが抜け目なくテロルを完遂させるお話かと思ってたら、もう全然。
なにしろ20ページが来る前にそれは突然始まって、その時には表紙と随分違うことに気がついて、「なるほどなぁ、こうして突然始まるのがテロルだよな」とミョーに納得してしまう。
主な登場人物はよろよろで初老と呼ばれる年齢に差し掛かった睡眠導入剤や安定剤を頬張るジャーナリストと、ちょと変わった女の子、それから、お年寄りばかり。
おそらく現代社会の中では、ちょとメインストリートから外れてる人たちばかりが、このお話を作っていく。
そう、IT業界のマツノ君が早々と退場するのは、そんなわけ。
ま、とにかく面白いのはラスト30ページくらいで、どんでん返しみたいなおもしろさではなくて、精神が高揚しちゃうおもしろさ。
それにしても、マツノ君はわざわざ退場するために登場するのがこの小説のよさで、年寄りを除くと男はダメダメなのに、女は切り開いて生きてくねぇ。
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