SSブログ

点子ちゃんとアントン:エーリヒ・ケストナー [Book]

前から気になっていた児童文学(カバーのイラストもね)。
全部で16章からなる物語で、各章の終わりには「立ち止まって考えたこと」と題するケストナーからの一言が書かれている。
大人にも人気があるのはこの「立ち止まって考えたこと」があるからだろうか。
僕もこの「立ち止まって考えたこと その14」の「尊敬について」が気に入った。
そう、人は心が広すぎる人を尊敬しなくなるものらしい。
このあたりの、ケストナーの人への視線がなかなか厳しいと思う。
人に対してはむやみやたらになにもかもを許していては尊敬を失い、尊敬を失うと横着になると言っている。
こういった厳しさって、あまり言われないことだよなぁと思う。
このあたりがちょと新鮮だったな。

そうそう、この16章はわずか3日間のことを書いている。
4/8 木曜日
1章:お昼前
2章:お昼ご飯のあと
3章:午後
4章:夜の6時過ぎ
5章:夜8時前
6章:夜の8時過ぎ
7章:夜の10過ぎ
4/9 金曜日
8章:午後
9章:午後
10章:午後
11章:夕方
12章:夜の8時過ぎ
13章:夜の8時過ぎ
14章:夜の8時過ぎ
15章:夜の8時過ぎ
4/10 土曜日
16章:午後
う〜ん、これだけの間に16回も「立ち止まって考えたこと」があるのかぁ。

ところで、この作品が発表されたのは、1931年のドイツ。
第2次世界対戦前夜と言ったところなんだけど、あの戦争中に点子ちゃんやアントンはどんな生活をしていたのだろうか?
あとがきによると点子ちゃんが住んでいたあたりは空襲でやられたとあるので、大変な生活をしていたのかもしれない。
アントンや、体の弱かったお母さんはご無事だったろうかと、心配をしてしまう。
一番しんどい思いをしたのは、もしかしたら点子ちゃんのお母さんのような気もする。
ちなみにケストナー自身は、作品が焚書の対象となり、(児童文学以外の)多くの本が焼かれた。
焚書と言えば、この日本では太平洋戦争後にGHQにより大量の本が処分されたけれど、日本人自身が書物を焼いたという話はあまり聞かない。

点子ちゃんとアントン (岩波少年文庫)点子ちゃんとアントン (岩波少年文庫)
エーリヒ ケストナー Erich K¨astner

岩波書店 2000-09-18
売り上げランキング : 118958

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

子どもに独占させとくのはもったいない
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。