SSブログ

いのちの食べ方:ニコラウス・ゲイハルター [Cinema]

原題はOUR DAILY BREAD(日々の糧)。
日本語のタイトルはちょと違うような気がする。
なんだかなにかを押しつけられそうな感じがするので、この(音楽もナレーションもない)映画にはやはり「日々の糧」の方があう感じがするな。
映画の中では、とにかく肉・魚・果物・野菜・塩などが(まさしく)機械的に処理されて行く。
その合間に、それらの仕事に就いている人の食事の風景が挟まれる。
いっそ食物を処理する機械のメンテナンスのシーンも挟むと....いえいえ、これは悪趣味ですね(ヴェンダースの「東京画」の食事のシーンみたいですが)、ごめんなさい。
いかに効率的に食品の形に仕上げて行くかをただただ映して行くだけなんだけど、カメラのアングルが良いですね。
食物を処理する同じシーンを違うアングルで見ると、その状況にちょとびっくりします。
そして、処理されて行く食物を見ていたはずなのに、いつの間にかそれを処理する人間を見ていたりして、いったいどちらが主役なのかわからなくなったりします。
食品へと形を変えて行く食物、機械、そして、機械を操作する人間が完全に一体化してるように感じるんですね。
やがて、機械の性能がもっと良くなると、人に置き換わって機械が処理をするようになるんだろうなと思いました。
見てるとホントにショッキングなシーン(....子牛があんなところから出てくるなんてとか、あんな射精をさせられたりして、とかですね)もあって、食物に関する限りは動物は(今のところは)プラント(生産設備)の代わりなんだなと思いました。
見ながら、肉骨粉なんて言葉も思い出したりした(おそらく使われているかもですね)。

小学生の頃に鶏をばらす(解体)ところを見たことがあるんですが、その鶏をばらしながら、ばらす人はこれが心臓、とか、殻ができる前の卵とか、ひとつひとつ丁寧に教えてくれました。
ばらす人の手は血で真っ赤で、命のあるものという事をしっかり感じたんですが、この映画の場合は命というものはほとんど感じませんでした。
おそらく、きれいに処理していたからかなぁ。
でも、あれが現実なんですね。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Let It Be:The Beatle..Kensington Expert Mo.. ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。