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黒い雨:井伏鱒二 [Book]

淡々とすすんで行く小説だった。
黒い雨というのは原爆投下後に降る放射能を含んだ雨で、これに打たれると被爆し、急性放射線障害を起こす。
この小説は、黒い雨に打たれた娘とその叔父・叔母の当時の日記を振り返る構成で書かれている。
原爆投下の前日から、終戦を迎えるまでの広島の様子を決して感情的にはならず、まるで報告書のように書かれている。
そこには原爆の犠牲者の凄まじい様子や、その頃の食生活、まわりの人たちとのつながりなどが書かれていて、戦時中の日本の事はもちろん、原爆の凄まじさ、その犠牲者の心境がよくわかる。
文章が淡々としているだけに、絶望的な状況の中で、幸せになりたいと願う姪や叔父・叔母の心境がつらい。

以前行った平和記念資料館では、原爆投下の広島の全体的な様子がよくわかったのだが、「黒い雨」を読むとその犠牲になった一人一人の様子が見えてくる。
原爆の被害によりなくなった方は(約)14万人。
使われるべき兵器ではない。


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