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悪人:吉田修一 [Book]

最近はなんとなく気持ちが落ち着かなくて本を読んでなかったんだけど、この週末に吉田修一の「悪人」を読んだ。

それぞれの登場人物に対しての距離感がほぼ同じで、案外おもしろかった。
ボリュームが倍くらいあるともっとおもしろかったかもなぁ。
登場人物の一人一人がくっきり書き分けられているので、その誰に対しても興味が持てる。
この小説にはひとつの殺人事件と逃避行が書かれているけれど、この作者はもう少し穏やかな事件であっても読ませる話をかけるんじゃないかなと思う。
読んでてたまんないのが、佳乃の両親と祐一のおばあちゃんね。
特にあの父親はたまんないね。
あの父親は娘の事を知らなかったし、知ってもそのままの娘を受け入れる事はできなかったけど、それが親なんだろうなぁと読んでいて、子を思う親の気持ちがものすごく痛かった。
おばあちゃんの書き込みが少し足りなかったのが残念。
いろんなわかりやすい悪人から、悪人だと言い切っても良いのかどうかわかんない悪人まで出てくるんだけど、最期の数ページを読んでいて、結局悪人て世間の事なんじゃないかという気もしてきた。
その数ページに対しての解釈はいろいろあるようだけれど、アレはそのままホントの感情だと思う。
光代の数ページは、なかなか良く書けてると思います(なんかえらそう)。

でもさ、やっぱり一番いけないのは祐一だよね。
人を殺しちゃいけないよ。
気持ちはわかるけど、だからなおさら増尾だとか佳乃に対して良い感情は(祐一以上に)持てないんだけど、好きだとか嫌いだとかで悪人かどうかを決めてはいけないと思う。

..................もし祐一があんな性格でなければ、どうだったろうと考える。

悪人悪人
吉田 修一

朝日新聞社 2007-04-06
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